ぽっちログ

新人かあさんぽっち 2歳児を育てる記録

最低の母親をやってしまった

朝5時。息子が半目で這い寄ってきて、私のTシャツをまくり上げ、乳を吸い始める。

吸ってない方の乳首は爪を立てたり、ひっぱって5cmくらい伸ばしてみたり。

手で振り払っても小さな手は乳首をいじめに戻ってくる。

耐えていると口の動きがしばらくやんだので、乳首を救出する。

すると目を閉じたまま口が慌てて乳首を探している。

産まれたてのころのような乳の探し方である。

吸いつくこと2時間半。

7時半にやっと息子は満足して口をはなし、「かあーちゃん、おーきーてー」。

 

 

息子は朝ご飯をなかなか食べなかった。

その上、欲しいと言って剥いたリンゴも口に入れて咀嚼したが、飲み込まず、エプロンに吐き出した。

皿の上には齧ったリンゴが2つ。

なのに、息子は冷蔵庫を指さし、「リンゴいる」という。

お皿にまだリンゴあるよ。

「リンゴ、むいて」

お皿にリンゴまだあるからね。

「リンゴ、いーる」

ここにリンゴあるよ。

「……」

剥いたって食べないくせに。は言わなかった。

息子はリンゴを剥いてもらうのが面白いから好き。

そしてもう自分は食べないけど、私達に食べてほしいと思っている。

だから、剥いてほしかったのだ。

息子はお皿のリンゴを口に入れ、きざみ食にしてエプロンに戻した。

息子は油まみれになっていた。

私がトマトに塩だけでなく、オリーブオイルをかけたから。

それを手づかみしたのである。

完全に私のミス。

夫がシャワーの準備をした。

私は息子にシャワーを浴びせ、タオルで体をふく。

オムツを履くところまでは何とかスムーズにできた。

ズボンをお尻の下まで上げた時だった。

しぼんだ風船が二つ、床に転がっていた。レモンより小さくなった黄色と白の風船。

息子はそれをつかんで、寝室に飛び込み、布団の上で大の字に転がった。

風船を握ると、親指と人差し指の間からぷうと顔をだす。

息子はニヤニヤしながらぎゅっぎゅと風船を握る。

お着替えするよ。

「いやな」

お着替えするよ。

肌着を頭に通す。息子は顔をぐしゃっとゆがめ、首まで通った肌着を掴んで投げた。

「おきがえせんのっ」

今はお着替えの時間ではない、風船遊ぶのに集中したいのだ。

お着替えするよ。

もう一度肌着を近づけようとすると投げられてしまった。

胃の辺りから頭のてっぺんを突き上げるように、体が熱くなる。

あんな風船があるから、と思った時には黄色の風船に両手の指を食い込ませ、左右に引っ張っていた。

風船は裂けて、べろべろの2枚の皮になった。

息子は目を丸くして、こわれたねとか何とか言って皮を触っていた。

夫が息子に肌着を着せた。

その間も息子は残った白い風船をもんでいる。ゴムの匂いが漂う。

「臭いから風船やめよ」

夫が言っても息子は風船を握っている。

着替えも一向に進まない。

肌着にオムツ下までしか履けてないズボン姿。

あとTシャツ1枚着れば終わりなのに。

着替えんのだったら、風船割るよ。

「いやな」

着替えよう。

「いやー」

風船をむしり取り、爪を立ててて左右に引き裂く。

また、風船は皮になった。

息子が火が付いたようにないて、風船の皮をかき集めている。

したかったことを叫んでいる。

無理やりTシャツを着せて、まだ叫んでいる息子を右肩に担ぐ。

荷物と息子の靴を持って、ドアを開ける。

涼しい風が吹いて、息子は泣き止んだ。

風船を引き裂いた凶悪犯にびしょ濡れの笑顔で

「どこ行くかなあ」

ときく。

保育園よ。

びっくりするほど平坦な言葉だった。

「いやな、ほいくえんいかんよっ」

車に乗るまで、息子は私にそう言い続けた。

そのたび、保育園行くよと返す。

チャイルドシートを見ると、「おふろすきして」とお気に入りの曲をリクエストし、自らの座席につく。

カーステレオで「おふろタイム」を再生。

しかし車が走りだすと、また「ほいくえんいかんよっ」。

イライラで頭を締め付けられている。

本当は息子の頬をぶってしまいたい。

胃にたまったイライラが猛毒を吐いた。

「うるさいっ。いうこと聞かん子は保育園なんや」

大嘘である。

いうことを聞かないから保育園に行くのではない。みれないから保育園につれていくのに。

「いやなーーー」

息子は泣き叫んでいる。あっという間に保育園について、息子を担ぎ出す。

先生があらあらどうしたのと息子の顔を覗き込む。

鼻水と涙でびしょびしょ。

私は先に教室に入って、荷物を分別する。

みんな机に向かって、おやつの準備をしている。

別の先生が息子の好きな絵本を持ってきた。

「一緒にめくってくれる?」

「せんっ。いやなっ」

熱を測ろうと体温計を持っていくと掴んで投げられた。

先生が絵本を読みはじめた。

息子はおそるおそる教室に入り、私の膝に座り、先生の方を向く。

そっと脇に体温計を指す。なかなか鳴らないやつ、ハズレのやつだったので30秒くらいかかって、36.6。

先生が息子を抱っこして、外の景色を見せに行った。

そのまま、私も気づかれないように教室をでて、先生に挨拶をした。

息子にバイバイも行ってきますも言わなかった。

 

 

 

いつもなら、家に帰ったら10分床に転がってから色々始めようかでもまだ寝ていたいななんて文字通りゴロゴロする。

今日は帰ってくるなり、布団をたたんで、夜通し乾燥していた洗濯物をたたんで各々のあるべき場所に返した。

1時間かけてダラダラとしていたことが、ものの5分で終わってしまった。

夫に怒っているのか尋ねられた。

確かに怒っていた。

体の真ん中からイライラが私を突きとばしていた。

朝やるべきことをものすごい勢いで終わらせても、それは消えなかった。

「息子に、いうこと聞かん子は保育園やでって、言ってしまった」

口に出したら、最後は言葉にならないくらい、崩れてきた。

涙が出てきた。

夫は、私が朝しでかしたことはいけないことだったと諭した。

分かっていた。

風船を引き裂いた時も、大嘘をついた時も、してはいけないことだと分かっていた。

でも自分をコントロールできなかった。

上手く息子の気分を乗せてあげることも、自分の機嫌を直すこともできなかった。

息子を傷つけてしまった。本当はぶって泣かせたいとも思ってしまった。

布団につっぷして泣いた。泣いてもやったことはどうにもならないけれど、泣いた。

今まで息子を叱るときに怒鳴りつけないようにしてきた。

目の前で大切なものを壊したり、関係のないことを引き合いにだして行動させることも避けてきた。

なのに、今朝はしてはいけないことを全部やってしまった。

特別息子が悪いことをしていたわけではない。

いつもよくあるようなレベルのことなのに。

最悪。人として糞。

病んで仕事を休んでいて、時間があるくせに、なんで気持ちに余裕がないわけ。

かわいいかわいいとか言っておいて、結局あんなひどいことできるんだ。

精神異常者なんじゃないの。メンヘラメンヘラ。虐待まっしぐらだね。

えらそうに、怒りの対処法とか、ブログに書いちゃってさ。今日であれは嘘になったね。

今更後悔して、まるでDVした後、優しくなる現象みたいね。

ネムーン期っていうんだよ。

最低。

あんた、母親じゃないね。

所詮、母親ごっこなんじゃないの。

そう思ってまた泣いた。

 

 

 

 

 

頭がぼーっとした。

目もあんまり開かない。

たくさん泣いたな。

こんなに息子に酷いことをしても、母親はやめられず、夕方になれば息子を迎えに行かなければならない。

なんか天使的なやつやお役所的なやつがきて、「今朝のこと、報告を受けました。あなたは母親失格なので、もう息子さんの母親は終わりです」と息子をつれていったりもしない。

それはすごく悲しいことだけど、正直に言うと、そういう風に終わりが来て、身軽だった時に戻れたらなと夢見ることは何度もある。

しかし現実には息子の親業は続くのである。

中身が母親ごっこでも、最低の母親でも。

子どもと離れることを夢見るだなんて、本当に最低の母親感すごいよね。

普段かわいいかわいいって言っているのは、ペット感覚?

悪いことしたらぶってやろうかと思うんでしょ。やばいね、うける。

自分が自分にそう言っている。

ため息が出る。

 

 

 

でもさ、しょうがなくない? 

もう開き直るよ。

私はそういう人間です。その程度の人間なんです。

聖なる母ではございません。

月に一回くらいはそういう風に怒ったりもします。

小さい子ども相手にムカついてぶってやろうかと思うときはあります。

しかし、普段は自分なりに優しい母親を頑張っております。

育児期間中、一度も最低な母親たる行動をとらないのは無理です。

だってただの平々凡々の底辺人間ですから。

考えてみてください。

私は息子を産んだけど、言ったら他人。別個体なわけですよ。

母親になったからと言って初めから息子の気持ちがわかるようにインプットされているわけじゃない。

テレパシーみたいなんで心が通じ合っているわけでもありません。

よって、何考えているか分からないし、こっちの意図もわかってもらえない。

勉強して分かるようになったこともあるけど、そう理屈通りにいかないことばかりだわ。

分からないものとずっと一緒にいて、疲れる時だってあるでしょう。

わけわからん他人とずっと一緒で、しかもその世話を独り立ちまでずっとするわけ。

24時間、365日、無報酬。奴隷か。

これが、こんな気持ちで終わったらそんなに苦しまないと思うんです。

疲れるとか、腹立つとか、負の感情がわくばかりの存在なら逆にそういうものと割り切れる。

最低の母親でしょうがないと思える。

でもね、そのわけわからんやつは、とんでもなくかわいいんですよ。

ほっぺや瞳だけでなく、鼻くそやうんちさえ可愛いと思う。

産まれてからかわいいと言わなかった日は1日もありません。

日に30回は言っています。

本当に可愛いんです。

だからこそ、私は可愛い息子の、良い母親でありたかった。

でも可愛いだけでなく、疲れるとか、ムカつくとか思ってしまう。

それは良い母親が思うようなことではないけど、実際問題人間だからそういうことは思うんですよね。

その事実を受け入れることができない、それが苦しいのです。

 

 

 

 

 

 

もしここまで読んで、

この人、自分をやったことを正当化するのに必死だなと感じるようでしたら、このページを見たことはきれいさっぱり忘れることをおすすめします。

私がやったことは悪いことだけど、正当化しようとは思っていません。

長い言い訳と、開き直り声明文です。

 

 

 

 

 

まあそういった後、こんな話をしたらやっぱり正当化しようとしているとおもわれるかもしれないけど。

例えば、もし、この悩みを抱えているのが友達で、私が聞いている側だったら

「えー、全然最低な母親じゃないよ。大丈夫だって、そういう時もある!もー、そんなの全然普通だから。考えすぎ!気負いすぎだよ~。」

っていう。いうだけじゃなくて、本当にそう思っている。

そんなに深く悩むのはやめたほうがいい。

今朝してしまったことは、本当に最低なサイコパスだけど、どんなに悩んでもやってしまったという結果は変わらない。

大人になったらいちいち叱ってくれる人も、罰をくれる人もいない。

自分で自分を整理して、区切りをつけなくては。

育児はまだまだ続く。次に行かなければ。

タラレバばっかり言って凹んでないで、夕方になったら息子を迎えに行って、一緒に公園で好きなだけ遊ぼう。

明日からはあんな風にしなくてすむよう、早起きしよう。

アンガーマネジメントについても学んで、自分をコントロールする方法を学ぼう。

今日は欲しかった本でも買って、気分転換しよう。

まさかのまさかだけど、こんな話をした後、欲しい本っていうのは

 

マリアさま

マリアさま

 

 マリアさま だったりする。

聖なる母 マリアさま。

 

 

 

 

今日はたくさん毒を吐き出しました。

そして最後に。

これはうちの鬼です。