「ねないこだれだ」や「いやだいやだ」で有名なせなけいこさん。
せなけいこさんの絵本って、ほわほわした貼り絵の雰囲気とは予想もつかないような、ゾッとする恐ろしいストーリーの時があります。
私は幼少期にせなけいこさんの絵本を通ってきてないので、息子が産まれてから絵本コーナーで立ち読みした時には戦慄が走りました。
えっ、子供向けの絵本でこんな怖いのあっていいの?泣かない?
お母さんが恋しくて泣いていたら魚になってしまったり、
ねなかったらおばけに連れていかれたり、
くつしたが結局見つからなかったり……
せなけいこさんの絵本の怖さは「えっ?そこでおわるの?」という読了感にあると思います。
魚になって、お母さんがバケツと網をもって迎えにきてくれるけど、そこからどうなったのかは分かりません。
「お母さんが迎えに来てくれたので、僕はもとにもどって、てをつないで帰りました」
では終わらないんです。魚になったらお母さんがむかえにきてくれるでしょ、でおしまいです。
これは夢の話なのか、本当にそうなった話なのか?ハッピーエンドなの? それとも……
お話は終わったのに、とても不安になる読了感が怖いんだと思います。
ハッピーエンドが約束されていません。
こんなの、子どもが泣くのでは、と思ったのですが、息子はせなけいこさんの絵本がお気に入りのようです。
最近買ったのは、「ちいさなたまねぎさん」
台所に現れたねずみを料理道具やお野菜たちがやっつけようとするお話です。たまねぎさんが活躍します。
そういう年ごろなのか、息子は「やっつける」とか「あーんあーんと泣く子に優しくする」というのが好きなようで、泣いているじゃがいもや、ねずみをやっつけようとする料理道具や野菜たちに釘付けになっていました。
とてもテンポよくすすみ、少なく短い言葉ながらにストーリーにはとても迫力があります。
初めて読んだときは、「なんだ、せなけいこさんの絵本なのに、こわくないじゃない」と思っていたのですが、いやいや、ちゃんと怖かったです
ねずみの登場シーンはこわかった……
首の後ろがゾワッとしました。
今まで見たホラー系のなかで一番怖かった……
絵本だからと油断していた分、めちゃ怖かったです……
さすがのせなけいこ先生。
明らかに恐ろしい絵というわけでもないのに、余白と色と視線であんな恐怖を演出できるとは。
怖いのが好きな人は子どもが居なくても、この絵本を手に取る価値があると思います。
最近絵本のセリフを真似するのがお気に入りの息子は、どのセリフを気に入るかしらと思っていたのですが、かなり予想外の部分を気に入りました。
本編が終わって、おしまい、とめくった先の
奥付のページの、右上を指さし、
「こえは~? だれ??」
「せなけいこ だよ」
と教えると、すごく気に入ったようで
「せ~なけ~こ! せ~なけ~こ!」と繰り返していました。
本編をよんでいても、「せ~なけ~こは?」とせなけいこ先生の顔を見たがります。
ストーリーにも夢中になっているけど、一番楽しみにしているのは、ラストの作者近影。
まさか、作者近影を気に入るとは……
今までせなけいこさんの絵本は「いやだいやだ」や「もじゃもじゃ」を読んだことがあったのですが、作者近影はなかったので、印象に強く残ったのかもしれません。
せなけいこさん、息子が覚えた初めての絵本作家となりました。