今週のお題「いい肉」
いい肉の思い出。
夫と結婚する前、まだ恋人だった夫の誕生祝に、良い焼き肉を食べに行った。
高松市にある焼肉丸惠。
食べ放題以外の焼き肉に行ったのは初めてだった。
私は彼に「好きなだけ食べよう」と言った。
どんどん注文した。
分厚い牛タンがあることを初めて知った。
元々牛タン好きだけど、分厚い牛タンばかりをどんどん食べた。
タンユッケを注文したらトロみたいに口の中でほどけて甘かった。
もう一度注文しようとしたら、韓国人の店員さんに「生肉は1回だけ注文です」と言われた。
もっと味わって食べればよかったと後悔。
肉の部位の名前をよく知らないので、とりあえず片っ端からどんどん注文し、焼き、口に入れ、彼と顔を見合わせて「おいひい」「おいひい」と言い合った。
序盤から牛タンでお腹を膨らませてしまった私は後半失速しほとんど食べられなかった。
しあkし、人の金で食べる良い焼き肉屋効果か、彼の勢いは衰えることを知らなかった。
私が食べられないといっても、「大丈夫、僕はまだいけるよ」とどんどん注文する。
そしてどんどん食べる。
前述の「好きなだけ食べよう」を守っている。
いっぱいのお腹を抱えて彼を見ていたら、ちょっと冷や汗が出てきた。
肉の夢から醒めてしまったのである。
今日は私のおごりなんだけど、財布に何円入れてきたっけ……。
彼はまだ食べられるといったが、会計が心配になってきたので、もう帰ろうと止めた。
会計は16000円。これが良い肉の値段。でもお値段以上の体験をした。
自分が生活している世界に、あんないい肉を食べられるお店があったことを知ることができた。
いい肉をはじめとする「別格においしいもの」はテレビの中の東京という場所にあるのだと、自分の世界から知らずに隔離していたけども、案外手の届くところにあったのである。
お金さえあればいつでも「別格のおいしいもの」は手に入れられるのである。
また行きたいとおもっているけど、なんだか今は尻込みしていけない。
あの時は完全に浮かれていた。あんないい焼き肉屋に飛び込めるなんて。
またあの勢いで浮かれたい。
そしていい肉でお腹をパンパンにして「もう食べられない」と言いたい。
今はスーパーでも「別格においしいもの」が売っていたり、それに似せる技術を自分でも施せることを知ってしまったので、またあのお店に飛び込むにはハードルが高くなってしまっている。
人のお金でなら遠慮なく飛び込んでバクバク食べられるのに。
頼む、神様、いい肉を恵んでください。
本日は他力本願にて終了。