23歳の時に運転免許を取って、車を買った。
実家の車にはCDが入るカーオーディオがなかったので、自分の車にカーオーディオがあるという事実に大興奮。
さらにCDを入れればメモリーに録音できるという機能に感動し開発者に心底感謝した。
さっそく手持ちのCDをどんどん挿入→録音。
私のドライブ&ミュージック時代が幕を開けたのである。
自分で車を運転しながら音楽を聴く。
それには並々ならぬ憧れがあった。
カーオーディオが標準装備の時代に、実家の車にはついていなかった反動もある。
しかし、憧れの根っこにはこの歌がある。
君の青い車で海へ行こう 置いてきた何かを見に行こう である。
私は運転する「君」になりきって海に行きたかったのである!
ボーカル 草野正宗さんの痺れる甘い声を助手席に乗せて!!!
……残念ながら新古車で購入した私の車は青ではなく黒色だったけど、
(さらに言えばナンバーも8823でも4690なかった)、
自分が運転する車でこの曲をかけながら海へ向かえば、たちまち黒い車でさえ「青い車」だと錯覚できた。
運転的に座っていれば自分の車の色はほとんど見えないので、想像力で青色に変更できるのである。
いける。私は今、青い車に乗っている。
そしてカーオーディオで「青い車」を再生すれば、助手席には草野正宗さんが乗っている。
後部座席にはてっちゃんとさきちゃんが乗っている。
軽自動車は4人乗りだからリーダーは乗れなかった。
でも多分リーダーなら暴れながらバイクで並走してくれる。
と思いながら、私は「青い車」の願望を達成したのである。
(その時の写真があればよかったんだけど、見つからないので、先週行った海の写真。夫と義父と息子が貝殻を探している様子)
子どもが車で曲を聞きたがるようになってからは、だいたい子どもが好きな曲を聴いていることが多くなった。
でもやっぱり一人で運転する時はスピッツの曲が聴きたくなる。
最近は「見っけ」というアルバムばかりきいている。
「快速」や「ヤマブキ」は運転しながら聴いてるとかなり気持ちがいい。
スピッツを聴きながらの一人ドライブはすごく楽しい。
普段は子どもや夫を乗せて保育園やスーパー、実家に行くことが多いけど、一人だとどこに行ってもいい。解放感がすごい。
そして大好きなスピッツに包まれて運転できる。
これが車を運転していて一番楽しい瞬間と言い切れる。
しかし、「見っけ」の少し前にでた「歌ウサギ」という曲で私の「青い車ドリーム」は崩壊した。
「歌ウサギ」は広瀬すず主演の恋愛映画のテーマソングとなっており、かなり良い曲としか言いようのないくらい良い曲。
でも私はこの曲に頭を殴られた。
試聴の間に問題の部分が入っていなくてごめんなさい、ちょうどこの後、
「何かを探して 何処かへ行こう」とか
そんなどうでもいい歌ではなく
君の耳たぶに触れた感動だけを歌い続ける
と続くのです。
おわかりいただけただろうか。
〇歌ウサギ
「何かを探して 何処かへ行こう」とか
そんなどうでもいい歌ではなく
〇青い車
君の青い車で海へ行こう 置いてきた何かを見に行こう
もう何も恐れないよ
再度、お分かりいただけただろうか。
どちらも作詞作曲は草野正宗。
正宗さん、青い車を「どうでもいい歌」っていっている!!!
びっくりしすぎてもう一回歌ウサギを聴く。歌詞を見ながら。
でもどう考えてもやっぱり青い車を「どうでもいい歌」と言っている。
そんなことしていいの?と思っていたら、草野正宗さんのラジオ「ロック大陸漫遊記」で正宗さん自らやはり「青い車=どうでもいい歌」であるという答えが明かされた。
確か「何か」という言葉が多くて訳が分からない歌詞、とかそんな話だったかな。
もう、大笑い。
過去の自分の、それも大勢に愛されている曲の、自分は好きじゃない部分を別の曲でディスるなんて。
めっちゃ面白い。
そう思うと同時に「青い車ドリーム」は崩れた。
「どうでもいい歌」といわれると、もう助手席に草野マサムネが~という妄想はできなくなった。
かといって、嫌いになったんじゃない。
「青い車」は私の中でただ純粋に憧れだった曲から、草野正宗さんのお茶目だけど毒気があって妥協しない部分を実感することができる曲になった。
だから夢女のような妄想はもうできないけど、今の生きている草野正宗を実感することはできる。
そういう曲の方が、貴重だと思う。
だから「青い車」は今でもカーオーディオで聴きたくなる。
ただ一人でドライブしながらサビを聴くとやっぱり「どうでもいい歌」扱いされたということを思い出してしまって、どうしてもクスッと笑ってしまう。
青い車を聴いて笑う日がくるとは、若葉マークの頃には思いもしなかったなぁ。